hamaji junichi

composer saxophonist

2009 1.11円盤ジャンボリー冬

久しぶりの新幹線を使った上京。前日に東京に入る。結構しんどいことに気付く。地元からだと5時間あまり。飛行機だと50分。そりゃ〜違うわな。
友人のお宅に泊めて(今回大変お世話になった)いただき、昼過ぎに渋谷に。田口史人さんにご挨拶。でリハ。共演のヴィジュアル・サウンドパフォーマンスの大城真さん、ドラマーの山本達久さんとご挨拶。大城さんとは一度ご一緒(タイバン)したことがあるが、山本さんとは今回が初対面。楽しみである。リハを終え、渋谷のヤマハバルトークの譜面を買い、色々行かなければならないところに行き、6時前にo-nestにもどる。ちょうどmimizhttp://mimiz.org/index.phpのセッティング中で、鈴木悦久さん、飛谷謙介さん、福島諭さんにご挨拶。実は音源は何度も聴かせていただいているが、3人でのmimizライヴを拝見するのは今回が初めて。asunaさんが「おっ!久しぶりの3人mimiz」と言って写真を撮ってました。いや〜かっこよかったな。staticな導入部と中間部といい、クール極まる上質なelectoronics musicが炸裂していました。それが淡々と時間、空間に配置される様にしばし心を奪われていました。一発で「かっこいい!!!」と思わせる強度が如何に重要か、、、です。



時間がきて、ステージにあがりました。今回の私の使用イクイップメントはsoprano saxophone(yanagiswa s-992)と鈴木學 さんにオーダーして作っていただいた、サックスの音に反応して発信するlive electoronics装置です。(今回のレポでは演奏中の自分の思考と楽音情報についても書いてみようと思います)pppの大城さんの電子音と山本さんの摩擦音で演奏は静かに始まりました。その音を聴きながら、自分が選択した音は実音で(以後すべて実音で書きます)E♭。その音が決定された時点、ロングトーンの間に私の中で様々な音階、音列、和声の選択肢が浮かび、まずはdur-mollを使用することにしました。音の組織はG.B♭.B.D.E♭.F#(G♭)からなるものです。その音列(もともとは和声情報ですが)をもとに旋律を決めてゆきます。導入は静かなものですから時間感覚もそれに準じていて、ロングトーンを中心に組織しました。そこから次第に音の情報も変化し、メシアンの移調の限られた旋法第2にうつったように記憶しています。こちらも最初の音のE♭を含んでいます。D.E♭.F.F#.A♭.A.B.Cです。動きは少し激しくなり、他の第2旋法も使いました。共演者の音も激しくなり、サーキュラーブリージング・マルチフォニックスを使いました。こちらは4つの音を基点としてはじめました。F#.A.B.C.です。これらの音は前に使用した音列の中にすでに存在している4つの音です。しかし、高速でのフィンガリングと、口腔内の操作による倍音の変化がもとの4つの音から書き換えられ、それに伴い、フィンガリング上の別の音が足されます。例えばA♭やB♭、D♭等です。そこから音はさらに激しくなり、楽音と非楽音を同時に内包する音群になります。そのため、フィンガリングの情報のみが演奏者である自分の内部の映像として認識され、その音群を聴取しながら口腔内の変化とフィンガリングを決めてゆきます。つまり、フィンガリング上の認識は明確でありながら今鳴っている音はそのフィンガリング上で表出できる「どれか」の音になっているわけです。おおまかに整理するとこういったことが自分の演奏の骨子を形成していました。大城さんの音と、山本さんの音に影響を受けながら、それらは自分の中で引用を繰り返したことになります。

演奏終盤で、山本さんがお客様に音の出る(小さなクリップのようなもの)をくばり、その音とともに演奏しました。ちょっと自分には発想の出来ないことで、ステージ上で心を動かされました。山本さんのキャラクター故の力でしょう。

今回の演奏は非常に落ち着いて演奏出来ました。

★大城真(sound & visual)+山本達久(ds)+濱地潤一(sax from 和歌山)
ステージの写真はTちゃん撮影。









円盤ジャンボリーに参加させていただいたのは初めてですが、参加させていただいて光栄でした。
(帰りのエレヴェーターで同乗したお客さんに「楽しかったね!!!」と声をかけられました。多分私が出演者の一人とは知らなかったでしょうが、こういったハッピーな言葉が出るイヴェントでした)
ご来場の方々に少しでも心に触れたなら幸いです。

濱地潤一