hamaji junichi

composer saxophonist

村上春樹著、雑文集を読む。まだ途中。埴谷雄高の「死霊」3章を読み終わり、しんどなってきて他に読むのは軽い文体のが良いので。その他にもJ.G.Ballardの「クラッシュ」もあと数章、「残虐行為展覧会」も中程、などなど。

文学の世界のように何かが起こる、つまりそこが起点となって物語がある方向に進むといったようなものが生きていてそんなにあるかと言えば、無い。な〜んも起こらん。長く生きていると薄々感づくことのひとつかもしれない。勿論素晴らしい変化を獲得する人たちもいる。

で、「雑文集」を読んでいたら興味深いこともいくつか知った。「日本人にジャズは理解できているんだろうか」という文章では1950年〜60年代にもっとも商業的に成功していたのはあのマイルス・デイヴィスでもなく、ましてコルトレーンでもなく、デイヴ・ブルーベックであり、ボサノヴァ時代のスタン・ゲッツだったのだそうだ。ぜんぜん気にもしてなかったことだが、やはりな、、、という感想をもった。そういえばマイルスの自伝で黒人が創造したものを白人が何もかもかっさらったと当時を振り返り吐き捨てるように言及していた。この「日本人にジャズは理解できているんだろうか」という文章は他に重要なことも書かれていて、気になる方は是非手に取ってください。(ブルーベックと言えば、僕にはポール・デスモンドなのでデスモンドのあのアルトを聴き返したりしました)

他の文章ではスタン・ゲッツは「人を人とも思わないようなところもあって、、、」とビル・クロウが言及していたり、、、あのボサノヴァの名盤で聴かれた音楽、特にあのテナーの印象とは乖離しまくった人格が少なくとも長く一緒に演奏したベーシストの発言なので、そうだったんだろうな、、、と読みながら思い、(まあ、麻薬というのも関係してるはずだ)

村上春樹がジャズ喫茶を経営していたのは有名だが、一度行きたかったな〜と思わせる文章もあった。それが見事なのだ。「ビリー・ホリデイの話」という文章で、へたな2時間の映画を観るよりこの6ページの文章を読んだ方が良いと断言できる。そんな文章。




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「フロリゲン・ユニット」のメーリングリストに投稿する。本当は長い文章で何か気のきいたことを書きたかったけれど、ここはやはり短く、、、と思い直して。