「変容の対象」2013・1月2−3小節目
福島諭さんより「変容の対象」2013・1月2−3小節目が送られてくる。
今作品の色彩、質感、手触りは既に少し今までの作品と趣きを異にしているように思う。
まだ3小節目の福島さんのパートまでだがそんな「気配」を密やかに留めている。
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映画「善き日のためのソナタ」の主人公のように坊主頭でヘッドフォンをし、その坊主頭では今日からの少しばかり厳しい寒さを凌げぬからパーカーのフードを被り込みリヒターを聴きながら、正月からの様々な対話、やりとりを、、、それは音楽、作品の発表、作曲、の、言わば生活から遥か彼方の事であるから、フードを被りヘッドフォンをしながらどこを見ているのか薮睨みの男がいて「我は盗賊。うぬが誇りをかすめ取らむ」と。その「うぬ」がいったい誰を指すのかは自身でもわからない。ただ明確な誰それでないのは確かだ。対象が明確でない、その方向に向かって密かな意識を投じるのも我々がすることだけれど、そのつかみ所の無い対象に向かって負けることを「わかって」いてやる。そういう悲哀を私は愛する。