hamaji junichi

composer saxophonist

2009.1.12 K.D.JAPON

南町田でみみづhttp://mimiz.org/index.phpのお三方と待ち合わせ。みなさんとご挨拶。鈴木悦久さんの車に同乗させていただいた。鈴木さんの奥様もいらして5人で名古屋へ。昨日円ジャンで初めてお会いした飛谷さんの爽快な語り口が道中を楽しいものにしてくれる。鈴木さんは柔らかな語り口、福島さんはイノセントでデーモニッシュ(ほめ言葉です。その一端は最新のみみづの日記の演奏を振り返っての記述にも。私は地の果てでにやりとしました)その会話の中に揺るぎ無い信頼とある清々しさを感じ、うらやましく思った。飛谷さんにJAZZのお勧めを聞かれて、LEE KONITZの「subconscious-lee」を激しくお勧めした。ギタリストはbill frisellを。鈴木さんにお会いしたら是非聞きたいと思っていた鈴木さんhttp://www.iamas.ac.jp/~yoshs02/index_j.htmlの作品「chromatist」の話をきりだすと、スコアを用意していただいていたので、驚く。そのスコアをありがたいことにいただいたので、時間をかけて読みたいと思っています。福島さんとは今年から始まった作曲プロジェクトのことを少しお話した。超寝不足で爆睡を予想していたのだが、寝るひまのない楽しい車中でした。

K.D.JAPONに着き、スティーブ・ジャクソンの武村モモジさんとご挨拶。リハを行う。


開演前に鈴木さんと「破綻する瞬間の美」について話す。自分の昨日の演奏がどういったことで成立しているのか?と問われての会話の中でのことだが、すごく印象に残った言葉だった。






みみづの演奏でライヴは始まりました。自分は2階席から聴いていたので、鈴木さん、飛谷さんが何をやっているのか真上からはっきりと見ることができ、良かったです。福島さんの動きも確認でき、その音の変化とともに「思考の動き」を感じる瞬間がありました。昨日の演奏も強度尋常ならざるものがありましたが、今日の演奏も私は2度ほど昇天しました。このスペースの音の良さも手伝って、音の細部も聞き分けることが出来たように思います。大音量であってもある「静謐さ」を感じるのは何故なのか?とか考えました。「洗練」という言葉に集約される音に対する技術と審美眼などの要素と、他に、何かが確かに介在しているような気がしていますが、今はまだはっきりと言葉には出来ません。



続いて私の演奏です。今日は昨日とは違い、譜面を用意して演奏しました。「solo sonata」と題された譜面には数種類の音列だけが書かれています。solo sonataとは書かれていてもソナタ形式で書かれているわけではなく、謂わば架空のソナタを演奏しようとしかけですが、これは自分だけの思いこみ、楽しみにしかすぎません。しかしながらその形式、様式美を架空ではあっても認識しているか、していないかでは演奏の内実も違ってくるとは考えます。意図、意識が演奏に影響しないはずはなく、推して知るべしです。今回もlive electronics装置を使いました。
K.D.Japonは天井が高く、まるで教会のような豊かな音響が得られます。リハの段階ではサックスは生音でも良いかなとも思いましたが、福島さんに意見を伺うと、live electoronicsとサックスの干渉がいまいち得られていない気がするとのご指摘でしたので、サックスにもマイクを用意していただきました。前日はlive electronicsは左右にパンして振り分けていましたが、今回はセンターで定位しました。最初は音列に従い、その原形、逆行、その音列からえられる和声などをゆっくりと演奏しました。黄金分割や、フィボナッチ数列によるものなどを通過し、場面は急速に変容します。場面の変換は突然現れました。今回は一音の重音がその契機でした。実音でCから左手のA♭に手をかけた瞬間、サーキュラー・ブリージング・マルチフォニックスが始まります。音の組織は(実音で)A♭.C.F.Aだったと記憶しています。その音の組織はその前に使っていた音形の中に内包されています。様々な倍音を孕みながら音形は急速に変化していきます。半音の動きが高速のアルペジオに付加され、一瞬ですが、何度も聴取上に現れたと記憶しています。あまりの高速の音の連続の為、時間感覚は麻痺しますが、興奮(一般に音の連続は興奮をうながします)などはせず、極めて冷静に演奏できました。その醒めた感覚が演奏の終わりを示唆しだし、ここで終われと言いました。なにやらオカルトめいていますが、確かに自分の中で、音が(勿論自分が、ですが、)そう言ったのでA♭で終わりました。
短い間隔を経て、live electoronicsのセッティングを変え、短い演奏をして全ての演奏は終わりました。私にあたえられた時間ではあともう一曲ほどの時間が残っていましたが、終止感があまりにも自分の中に鮮明にあったので抗うことが出来ずこれで終わりとさせていただきました。


スティーブ・ジャクソンの演奏も2階席で拝見しました。

お名前は存じ上げていましたが、初めて聴かせていただきました。あの、たうたうような柔らかな感触の聴取感はトリオの、バンド編成で固有のものを感じました。目を閉じて聴いていた時間が多かったのもその音に導かれてのことだったのでしょう。モモジさんの歌、声の質感も柔らかく全体に溶け込んでいて、機能しているように聴こえました。鈴木悦久さんのドラムセットによるドラミングも初めて拝見しましたが均整のとれた無駄のないものでした。




小野さんのトリオも初めて拝見しました。アルト・サックス、ヴァイオリン、ドラムという変則編成のトリオで豪腕のフリージャズが炸裂していました。
小野さんはリハの音出しの時バッハのパルティータ(だったかな?)を吹いていました。そんな演奏も機会があれば聴いてみたいなとか、私感ですが思いました。


会場にはイアマスの方々などもいらっしゃったようでアカデミックな色彩であふれていました。

ご来場いただいた皆様ありがとうございました。

濱地潤一