hamaji junichi

composer saxophonist

この場合の「世界」とはまぎれもなく作曲家のものである。東京1日目

頭の内ではベートーヴェンの「テンペスト」がずっと鳴っておりますよ。東京行きの少しまえぐらいからでしょうか。今日から東京でのことについて書こうと思っていましたが、随分疲れているので今日は眠ることにしようと思います。明け方起きて書くやもしれません。眠れれば、、、の話ですがね。

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午前2時。4時間ほど眠っただろうか。京極夏彦著「姑獲鳥の夏」を読みながらすぐに睡魔の誘いに落ちた。
演奏という行為は随分消耗するものであり、私のような地の果てに住んでいると移動の消耗、さらに意識はしないが環境の変化への順応というのも年々しんどくなっているのだろうか、、、と考えて、演奏を終えたつぎの日、新宿を歩いた時に感じた皮膚にじっとりと染み付いたような疲労を思い返す。今は眠りの後であるから幾分その疲労、消耗の影は消えているが脳髄に張り付いたようなその感触はやけになまなましいので、、、


3月6日。

午前に東京に着き、上野で作曲家・福島諭さんと合流。すぐに浅草に向かう。福島諭作曲作品「BUNDLE IMPACTOR」初演の為のリハーサル。この作品の着想は随分前に聞いていて、ついにここに表出するわけであるからどんな様相をまとって表出するのか演奏する者の一人として確認できるのは特別な気持ちになる。譜面という記録媒体に記された構造体は前もって確認しているが、クラリネット2管とオーボエのセクションとサクソフォンのセクションは指示されたテンポ設定も違い、さらに組織法もアルゴリズミックな数式をもとに複眼的に組織されていて例えるなら前者が横、後者が縦の視点で組織されており、譜面を見ただけではその表出の姿を掴むのは難しい。さらにコンピュータの処理についてはその時点ではまだ福島さんの脳の中にあって、自分には未だ未出の領域も含まれているからその作品の全体像を把握するのもこのリハーサルでということになる。

クラリネット・伊藤めぐみさん、櫻田はるかさん、オーボエ・山口裕加さん。伊藤さん以外は初めてお会いした。けれども彼女たちは福島さんの JFC(日本作曲家協議会)作曲賞入選作の「フロリゲン・ユニット」の演奏者であるからコンテスト時の映像も見ているし、初めて会ったようには思わなかった。

後に櫻田さんに月にどのくらい演奏しているのか聞いたら半分以上だそうだ。彼女たちはあたりまえのようにそれを為す能力があって、才能があり、それを継続している。凄いことだと思う。私は演奏行為が果たして好きであるかと問われると言葉につまるし、つまり、才能がはっきり要ることなのだ。その領域での。また自分が演奏をする判断基準は演奏家の方々とはもともと違うとも言える。(話が別の方にそれた。これについてはまた書きたい)とにかく、彼女たちのその領域での才能に触れるのは実際にその演奏を聴けばわかる。それは凄まじい時間と引き換えに得られたものである。




リハーサルを終え、福島さんとアサヒアートスクエアに行き、初日の作曲家の方々の作品を拝聴。


帰りに少し作品について話す。


福島諭さんの記述。
http://mimiz.org/index.php?ID=940