hamaji junichi

composer saxophonist

先週あたりから倉庫に眠っていた古谷実の漫画を読みなおしていた。小説など探していたら出てきたのでつい手に取ってみたのだ。その昔希望に夢膨らませ(今では信じ難いが、若いってそういうこと。素敵ね)根拠の無い自信でパンパンになった脳で惚けて暮らしていた東京で「稲中」を買って丸の内線で池袋に向かう車中、岩下に田中が浣腸をおみまいした後の「やんのか、こら〜」というページを見た時の衝撃は僕の世界を揺らした。衆目の前で抑えることのできない爆笑は声に出、涙がとまらなかった。泣いた。俺。泣いたよ。思いっきり。っうわけで、稲中と、「シガテラ」「ヒミズ」。それらを読んだ。「シガテラ」がどうにも良かった(南雲さん最高である。)ので、未読の「わにとかげぎす」「ヒメアノール」「サルチネス」を読んで、「ああ、天才ってこういうことなのね」と思ったのだ。読んでよかった。

それで、今日バッハの管弦楽組曲3番を聴きながら(所謂G線上のアリア)なんとも切ない気分に浸っていた。古谷実の描く主人公や友人の気持ちや、有り様がビンビンシンパシー感じて困るのである。

話は変わって、それらに登場するヒロインは例外なく美しいのだが、それはやはり実際に居る(多分)ではあろうけれど男の夢想する女性性を雄弁に語っている。女性は女性「固有」の文脈で生きているのがめっぽう美しいので、それに男は避け難く惹かれるものだ。男の文脈で喋る女のインテリが酷く美しくないのはそういうわけで尤もなことだな、、、とぶつくさ思いながら、ああバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌみたいな人生であれば文句はないな〜とまた思う。