hamaji junichi

composer saxophonist

ポール・オースター「ガラスの街」

city of glass

《変容の対称》でのメールのやりとりのなかで福島諭さんにも激しくお勧めしておいたのだが、超面白いので最近の集中力のなさはんぱない私でも猛烈に惹かれて読んだ。あまりに最近文章とか、楽譜とか、サックスとか途中で嫌になるほど対象をはなれて別の虚空に意識が飛ぶんで、いよいよ駄目になってきたのではないだろうか、、、とも思っていたけれどオースターはそんな状態など吹っ飛ばすほどのものがあった。

物語は推理小説、探偵小節のフォーマットを借りてはいるがまったくなにも解決しない。物語の主眼はまったく別のところにあるという、所謂ポスト・モダン的手法。構造的に読ませる推進力はそのフォーマットに依ってなされるが、思い返してみれば鉄板の名作、映画「セブン」もそうだ。あの物語も主人公らは結局何も解決しない。最近見たポール・ハギスの新作映画も構造は似ている。そういうふと何気なく享受している映画とかでもポスト・モダン文学的手法は確かに機能しているようだ。認識できるかどうかは別にして。


これから図書館に。