hamaji junichi

composer saxophonist

《Death of quotation...one of the art...in the past...》

《Death of quotation...one of the art...in the past...》


福島さんに音源を送る。進言に従い、先日岐阜で拝見した前田真二郎さんの映像作品「日々」のなかでつかの間聴かれる過去の自身の作品とほぼ同時期の音源で、「概念」の書き換えを為す作品として整合性が合うという意味に於いて上記の題名を書き添え送った。書き換えといっても、もう当時からそういう「概念」でああいう技法を演奏していたのではあるが、明晰さやクリア度合いはやはり今の方がレベルが違い、言うなればこれは録音物であり、過去の演奏をパッケージングしたobjectと想像してみてもらいたい。例えば白い壁にかこまれた均一な空間をもつ一室に《Death of quotation...one of the art...in the past...》「引用の終焉...過去の...ある技法の...」という「概念」が入ったものが置かれていて、それが録音された演奏を指している。音楽そのものは勿論重要ではあるが、技法が封じ込められたものとしてあり、もうひとつ上の階層に「それ」をそこに置く意識があり、それが作品の主題としてあるという「概念」。音楽を聴く時、今鳴っている眼前の音楽が指し示すものが作品に於いて全てであるというのが聴取者の先入観としてあたりまえに存在するが、そうではないということだ。この場合に於いては。