hamaji junichi

composer saxophonist

《変容の対象》2020年1月も月末のその日にfineを迎えた。思っていたより息の長い変容にしては長尺の作品になって交互に編んで行くように作曲する作品だから長尺にはなり難いけれど、先月は必然的に中盤の日程あたりから互いに困難ではあるけれど書き続け、やりとりしていたから終わってみれば、、、ということになった。厳しい期限の制約がなければまだ続くことは可能な作品も多く、これもその一つだと思うけれど、そういう留保的な含みの存在は意識にはのぼるけれど、かといって「それ」が出現しうるべきものということではない。未出の存在の気配は、それはとても魅力的なものであるけれど、作品の成立後には当然のことながら干渉しないし、消えてしまうものだ。

 

昨年の12作品の総括文を書かなければならないけれど、まだ一切手をつけれていない。今日は今日で津上研太さんのあのソプラノ・サックスが聴きたくてdate course pentagon royal gardenを聴いていた。活動休止前に出されたカフカを冠した作品は特別で、休止のアナウンスがあったライヴ、、、大阪のライヴにも当時の細君と行って、ライヴ後津上さんと3人で飲みに行ったことも記憶に鮮明に残っている。活動休止を経てデートコースはdcprgという表記に変わり、今はまた別の表記に変わっているらしい。

 

作家の伊藤計劃のブログでデートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンを聴きに行くとか聴いていたとかいう記述があって、あの早逝の作家が津上さんのサックスを聴いていたということにその作品を愛して読み耽ったものとしては、いささかロマンチックな感傷をその時抱いたけれど伊藤計劃はバンドの休止も知らないし、以降の変遷も知らないのだ。作品「ハーモニー」の冒頭を書店で読んで即買いし、少ない作品(当時はまだ存命だった)は今も大切に持っている。

 

ウィリアム・ギブスンを読み、伊藤計劃のことがこうしてイメージされるということはつまり、また何周かまわってサイバーパンクに惹かれている時期なのだろう。