hamaji junichi

composer saxophonist

「日々《変容の対象》8月」 5

僕も福島諭さんもある程度実際の演奏家が演奏する《変容の対象》を「経験」しているし、また《変容の対象》という作品の成り立ち、そこに通底する哲学、長い時間にによって生成されたヴィジョン、あるべき姿は、当然それぞれ持っているわけで、演奏家に伝えておきたいこともその都度、その演奏家に伝えてきていた。実際、演奏家の中にある《変容の対象》は時間の経過で作品自体の「成り立ち」の理解の像が結ばれてゆくことを知ることもあって、最初の作品への印象から「ああ、なるほどこういうことだったんだ、、、」と奏者から感想を伝え聴くこともあって、作品の構造に重層的な視点が介在している(二人の作曲者がいて、謂わば二つの脳の思考、指向が同時に走っている作品であることは案外口に出してこう言ってしまうより複雑な現象を演奏家の理解野の領域に浸透しづらいものなのかもしれないことは幾度か経験している)から、演奏が、ある間違った方向に行ってしまうこともある。

 

ただ今回の山内敦子さん、木村佳さんの演奏は前年のイアマスでの試演の時から常に「安定」した演奏だった(これは驚くべきことだった)から僕と福島さんもあまり多く注文を出すこともなかった。

 

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