hamaji junichi

composer saxophonist

今日令和2年10月2日、弟が鬼籍に入った。僕の身近な人もあるいは弟の存在を知らない人もいるかもしれない。長く病を患い、その存在を口にすることもなかった。その病は19歳あたりから彼を蝕み始め、46歳で逝ったから27年間その病に支配されていたことになるのか、、、とあまりにも長いその時間を思い、言葉もない。もしその病に侵されていなかったなら、おそらくひとかどのギタリストになったであろうと思う。彼がまだ元気だった18歳の頃だったか、「ギターを弾くのが怖いんだ」と言った。その恐怖、あるいは地獄の気配にすでに気付いていた。音楽の領域が違うにせよ、また、彼もまだまだ未熟な時代だったにせよ、それでも当時のその繊細で正確な演奏には、確かな強い「光」が胎動しており、お世辞ではなく畏怖に似た反応を自身の内に覚えたことをはっきりと憶えている。だから残念でならないのだ。巷で出会い、逢瀬を交わす他の人々はほとんど「音楽」を絶望的に欲してはいない。彼は病に侵されギターをもう長らくまともに弾くこともできなかったけれど、その「魔」には死ぬまで寄り添っていたように思う。もし、、、は無いのは承知で、彼が元気に今の齢で別の人生を歩んでい、ギタリストの道を歩んでいたなら、僕や委嘱して福島さんの作品を、あるいは演奏して、、、と思うと、、、

 

昨日脳出血を起こし、一瞬でこの世を去った。