hamaji junichi

composer saxophonist

四季 春 (講談社文庫)

四季 春 (講談社文庫)

東京で1日を過ごす。映画館に2度足をはこび、絶句、絶叫、歓喜。夕刻になるにつれ人の往来、、、というより群集を横目で見ながらあまりの自身の内部の空虚さに唖然とするとかしないとか。ただ、ぼんやりとした不安(芥川の名句)というより、はっきりとした不安に満たされそうな予感というよりもはや実感に打ちのめされながら、音楽に満たされている時間だけがきらきらと輝いているように思った。あれは夢だったのではないだろうか。濃密で甘美な時間の連続体は一瞬で私のもとから去っていった。帰り、浜松町の本屋により、森博嗣の「四季 春」を買い、レジ横のCDの棚を見ると、サティやドビュッシーのCDがなんと315円。即座に買う。どちらもピアノ作品集。サティ、JE TE VEUX(おまえがほしい)を仲野さんのトリオkyがやっていたな、、、と思い返す。歌が心地よかった。ドビュッシーの方は、「夢」「喜びの島」「沈める寺」など鉄板の名曲集。
森博嗣の「四季 春」を読みながら、飛行機の出発時間を待つ。全体を低通する徹底的な静謐さはダイアローグ、モノローグ、文体から匂いのない匂いと気配を表出していて、美しい。
こうして今回の旅は終わった。

和歌山に帰り、「変容の対象」7月のやりとりを再開。7月はこれまでより、より一層「色彩的」な作品になりそうだ。最初の福島さんの提示した動機が最後まで効いている。