hamaji junichi

composer saxophonist

変容とcomposition,impession III

今日はcomposition,impression IIIという作品を書いていました。というか、そのモチーフを書いていて、変容の今月の自分の動機とリンクさせることを思いつき、このブログは福島諭さんも多分チェックしてくれているので少し書こうと思います。まあ、私信のようなものでしょうか。

 composition,impression IIIというからにはIとIIとが当然あります。これは新潟の近代美術館で福島さんとともに発表しました。我々がここ数年取り組んでいる「サックスとコンピュータの為の室内楽シリーズ」の作品です。そのIIIを書きたいと先日から思っていて、IとIIはコンピュータ・プロセッシングもそれ用に福島さんが組んだものですが、IIIに関してはポスト・セッション方式を採用してもらいたくて書く準備をしていました。どう違うかはポスト・セッションの方がプロッセッシングに関しては即興性がとても強く反映されることがまず第1でしょうか。(ちなみにポスト・セッション方式とは福島さんが参加されているmimiZというスーパーインテレクチュアル(私の確かな印象です)なユニットで採用されているシステムで、音源をその名のとおり郵送して、それを受け取った演奏者がその音源をリアルタイムでプロッセッシングとセッションを行うものです)

僕自身も、2度ほどmimiZのその演奏を見ていて、そのポスト・セッション方式の可能性を体験してみたく、福島さんにお願いして先日自身の「layered music op.1-1 sax-piano ver」という作品のポスト・セッションをしてもらって、その音源を確認し、おおいに刺激を受け、composition,impression IIIは是非この方式でやってみたいと思ったのでした。

 それで、モチーフを書いているとこれを「変容の対象」の動機として採用してみたいと思い出し、変容の対象はピアノとソプラノサックスの作品なので、試みとしては興味の惹かれるものだと思ったわけです。勿論、変容についてはモチーフ部の採用だけで、それ以降の音の組織はポスト・セッション版とは違ってくるのですが、サックスとコンピュータの為の作品も、変容も福島さんと僕がやっていることなので、その作品がひとつの完成をそれぞれみたときにあとで、アーカイブ的にも面白いはずです。

 題名のとおり、「印象をコンポジション」する意がその通底する思想にあり、印象派へのオマージュという意味もある(自分的にはポスト・印象派とは?という概念も少しあって)作品で、音の組織についてもその色彩が色濃く出ています。例えば5音音階と全音音階の採用がそれで、サックスとコンピュータのverはサックスのみがまず、それらを提示して、コンピュータはそれを加工し、2次的、3次的、時にはそれ以上の旋律を組織することも方法論としては想定されますが、「変容の対象」はそのサックスの旋律に対して1次的なピアノが介入、干渉するもので、それぞれ大きな差異があることが想定されます。

そのモチーフを書いていると、思いのほかボリュームのあるものになっていき、今日はそれをねかしたいと思います。明日、またはそれ以後に福島さんには動機を送ろうと思います。気がつくと、今日はそれに数時間。あたりは夕刻の霞がかかっています。