hamaji junichi

composer saxophonist

いったい、日々掠めるこの「敗北感」は何なのか。
一瞬、ふっと気をゆるした刹那、それは掠める。
鋭いが、しかし、それはすぐに消える。
自己防衛か、はたまたそんなことにはかかわっていられないのか、忘却の海にそれはかえる。
しかし、次の日にはまたそれがひゅっと掠める。
倦怠というにはあまりに詩的ではないそれは、最早末路の暗示とも思えてくるがそんなことにはかかわっていられない、、、



composition,impression IIIを録音する。ソプラノとアルトで。今頃は福島諭さんと前田真二郎さんと砂山典子さんが新潟で邂逅しているのではなかろうか、、、むむ、、、うらやましい、、、などと思いながら、マイクの前にソプラノを突き出し、左目で書き上げたばかりの譜面を読みながら録音したのだった。このcomposition,impression IIIは「変容の対象」2010・7月と動機部分が同じという構造をもっている。福島・濱地の共同作曲シリーズの「変容の対象」と、同じく福島・濱地の「サックスとコンピュータの為の室内楽」シリーズの作品それぞれに同じ動機を持ってくるという着想で、話が進んでいた。ソプラノを録り終え、アルトに持ち替え、左目で譜面を読み、また録音。楽器が違うと印象も必然変わる。
続けて、アルトで、「sarabande interface」を録音する。バッハのサラバンドをモチーフとしたもの。これもポスト・セッション方式で福島さんにコンピュータ処理をやってもらおう、、、と勝手に思いついたので録音した。バッハのサラバンドの構成音から1小節単位のなかで任意の音を取り出し、演奏するもの。一種のゲーム・ピースともいえるかもしれないが、もっと明確な演奏上のしばりがある。それは小節内の和声情報を効果的に表出する意識で音を選択しなければならないということ。適当に音を選ぶことはゆるされない。
 福島さんとはもう長いが、記憶ではアルトを聴いてもらったことがなかったので、そういった意味もあって、アルトで録音した。
お盆明けにでもTDして、新潟に郵送することになるだろう。