hamaji junichi

composer saxophonist

Rondo For MI satoshi fukushima

福島諭さんの新作、ピアノとコンピュータの為の作品が新潟のbook of daysさんで発売された。「Rondo For MI」は僕が福島さんと一緒に共同作曲や発表などをはじめた当初、スコアと音源をいただいていて、とても思い出深い作品。思い出深いだけでなく、事あるごとに聴いている作品でもあり、譜面を目で追い、その時間の造形を双方向から鑑賞できることに喜びを見出せる作品でもある。美とは何か?音楽にとって、、、と思考する上で、その造形と方法論、構造を支える明確な思索の痕跡がスコアと、音から自身の内部に干渉する体験は貴重だ。コンピュータと楽音の幸福な婚姻はこれからもっと注目されて然るべきだと信じさせてくれた作品。以下のリンクで福島さん本人の解説と、book of daysさんのウェブショップに行けます。
http://www.mimiz.org/index.php?ID=454

岡山から帰ってから極度の疲労があの灼熱の太陽のせいだと、、、カミュじゃないが、精神的にも思考も停止していた。
岡山の発表で思い出すのは、奇妙に静謐な心境で演奏できたことだ。緊張もない、しかし、倦怠もなく、本当に静かに演奏できたことはひとつの発見だったと思い返す。ひどく稚拙な表現だが、緊張を飼いならすことが演奏には不可欠なひとつの要素だと思ってきたが、それではない何かが確かにあったようだ。
譜面にしたがって前半はその音の配置と、音価に細心の注意をはらい、中盤では田口さんが映す譜面を読みながらそれをモチーフにしてインプロヴァイズした。即興には様々な階層が存在するが、「無から有へ」などといった感傷は存在しない。最近は循環呼吸やマルチフォニックスなどに興味がもてず、凡庸な気がしてそれを使用することに気恥ずかしささえ感じていたが、今回は必然的にそれを使用する気になったのは何故だったのか。
後半のバッハのサラバンドに行き着いた時、空間に飛ぶ映像と音がとても自然な様相を表出していたように思えて、頭がクリアになったような気がした。



岡山で印象にのこったことがもうひとつ。笑顔。あんな自然に笑顔が、、、といった光景を何度も見た。演奏者のなかにも居たし、お客さんのなかにも。とても美しいと思った。