hamaji junichi

composer saxophonist

三重に行く道中、夏の勢いあるあのむせるような濃い緑の匂いはもう無く、風にのって鼻先をかすめるのは微かな冷気を孕んだ川面をすべる湿った匂い。そこには秋の気配が満ちていて、感傷的にもなる。おおよそ、「人は皆寂しい」とある天才は言う。自分にも思い当たるところがあるけれど、それは極めて自己中心的な都合によって、その刹那のみそれを自覚し、やたらめったら連絡を取ろうとするが思いとどまる。恥を知らなければならない、、、となる。

 他者に身を捧げあうような幸福な関係は、それは来るかもしれないし、来ないかもしれない。それはある種の奇蹟ではないだろうか。と思う。自分にもそういった時間は確かにあった。それは指の間から流れ落ちる流砂のように消えてしまった。

 ブラームス 間奏曲 イ長調 作品118-2

http://www.youtube.com/watch?v=tgFvcm3qenM


冗談か本気か、虚実あやふやなまま、投げる。ただ、この音楽は聴いて下さい。おそろしく美しい作品。福島さんお勧めのグールドのも大変良いが、この田部京子さんの演奏はなんとも端正、それでいて優しい。今現在256回しか再生がないが、再生数が多いのが優れているわけがない。