三輪眞弘+前田真二郎 モノローグ・オペラ
大阪も久しぶりだ。特急でも2時間かかる場に住んで、ほぼほぼ用もなくなった土地だと気付かされるまでもなく交通は断たれて久しい。前田さんからこの「新しい時代」のことを昔から断片的に聞いてはいた。 http://www.operanewera.com/
おそろしい作品だと思った。
畏怖という単純なおそろしさでもなく、おそろしい。
主人公はここでも14歳だ。14歳。少年。
さかいれいしうさんのソプラノは情緒によらない美しさを湛えている。驚異的な仕事量だった。
会場の内部の音響はクリアだ。音がいい。ウエヤマトモコさんの手腕だろう。ピアニッシモの微細な音響の導入直後のヴォイスから。
第2部の遁走パートはリアルタイム・サンプリングではなく、人工的に合成した(声)とその場で歌うれいしうさんの声だと帰りの電車の中でパンフレットを読んで知った。最も没入した。そうしたら、あの、映像とのリンクも、、、
前田さんは凄い仕事をしていた。細部に伸びた演出の複雑な伏線の枝の存在をおぼろげに知覚するにとどまるしかないにしても、その情報の膨大さは静かに迫ってきた。帰りがけ少し会えたので「えげつなかった」とだけ伝えた。元気そうだった。
ここからは私の妄想の話。
「私の真理は他人の真理である必要はない」
三輪眞弘さんのテキストと作曲を声で聞きながら作品の実際の示唆はそうではないけれど、死に値すると14歳の吐露する狂信的真理の表白を聞きながら、その言葉が何度も頭に浮かんだのは自身の置かれた状況とも無関係ではないものの、やはり真理に思えたのだった。電子音楽ー現代音楽の極北の中で。
私の真理はあなたの真理である必要などない。