hamaji junichi

composer saxophonist

新潟 最終日

福島さんとともに早めに起床。nodal point/modal pointの録音をする。が、時間的制約の為途中で断念。コンサート・ピースであるこの曲のレコーディングはまたの機会に。今回の新潟は非常に実り多いものだった。福島さんの印象、最初に円盤さんで見た印象、それは極めてアカデミックなpop性を帯びていて、今回もその類い希なpop性については感心もしたしシンパシーをも感じた。個人的には福島さんの作曲の構築に向かう思考を共有したくもあったが今回は福島さんに自らの思考を説明するだけで瞬く間に時間は過ぎていった。(とは言っても、話すべきことが湧き出るあの感じは今後大いに楽しみでもある。至福の時間だった)ただpop性については会うことを重ねるたびにますます深くそれを感じ、その強度たるやこうして言葉にすることもままならない。初めて二人で話した時popということが少し、自分の口から出たのは単なる思い付きではなく、福島さんのpop性が自分の想い描く現代音楽におけるpop性というものに深く干渉する幸福な予感めいたものがあったからだ。こういった邂逅を重ね共同で作曲し演奏することで見えてくるであろうナニモノカを想うと興奮を禁じ得ない。次回に続く微細な萌芽が幾つも感じられた新潟だった。これから年内はライブをひかえ(もしかしたら一本あるかもしれない。これは是非やりたいがまだはっきりとはここに書けない)作曲に没頭しようと思う。これは前から決めていたことで、これからとりかかるものはある程度時間が必要だからだ。福島さんとの作品が主になるが、サックスのソロ作品もかく予定だ。影響はいまでも響いている。

福島さんによるコンサート・ピースも来年には演奏できるだろう。(半年から一年ぐらいのスパンで作曲されるとのことだった)


後日、福島さんのソロ作品を聴く。その見事な音響と音韻の構築は、popでありインテレクチャルな美に溢れていた。エレクトロニクスのスコア化を可能にするコンポジションは聴取する側に強力に作用する。これは先月のライブ音源であるそうだ。発音数が8つの音源のパラメーターを操作して導入部は構築されているそうだ。後半はある録音された音源を8つに等分して同時に鳴らしながら加工しているということで、聴取への問いも内包されながら、サウンドは洗練されており心に触れた。その洗練こそある到達点へと誘うということを思いながら聴いた。この作品はまた発表されるときがあるそうで、発売が待たれる。






急ぎ新幹線に乗り、東京に。asunaさんと渋谷で会い、先のベルギーの現代音楽のフェスのお話など聞きながら、asunaさん作曲の器楽曲の音源などいただき、和歌山に。
数日にわたる演奏旅行の日記もどうやら一区切りである。