hamaji junichi

composer saxophonist

3.15 modal equilibrium at grid605

3月15日。昼過ぎに東京入り。いつもながらぞわぞわとした微かな感覚があって、それが心地よい。3時にgrid605に。牧野琢磨さんとは同じ電車に居合わせ、ホームで握手。会場に着き、鈴木學さんと握手。鈴木さんとは昨年半ば頃から作曲作品で共演しましょうと約束していて、今回ようやく実現となる。早速、リハーサルに入る。牧野さんとはlayered music op.1はデュオで以前2回演奏していて、それに今回鈴木さんに入っていただくのだが楽曲の構造上、あまりこまかな指定は必要ないと考えていて、自由にやってもらった。ただ、私もサックスにリンクして正弦波を出力するので正弦波以外の音を使いましょうと鈴木さんから提案いただく。譜面を確認していただき、一通り演奏。今回、この室内楽トリオはどうしても録音したかったので和歌山からマイクとハードディスク・レコーダーを持参してのぞんだ。私はモニターしながら演奏したが、牧野さんのギターのエッジの効いた音(強力)に痺れ、鈴木さんの多彩なサウンドとすばらしい反応がアンサンブルの多層化を表出しているのを聴きながらサックスのロングトーンのみという手法がさらに効果を得ているように感じた。contempt for sax and guitar and live electoronicsは牧野さんとも初めての楽曲になる。先述したとおり、鈴木さんとの作曲作品を考えるなかでできた作品。手探りでリハーサルを一回。ギターの和声情報はがちがちに決まっていて、サックスによるライトモチーフが2つ用意され、7つのモードが任意に旋律として組織される。そこにライヴ・エレクトロニクスが干渉、アンサンブルするもの。一通り演奏し終え、楽曲の構造を3者が確認し、リハを終えました。

ラジオ・ゾンデのお二方も会場に入られご挨拶。青木さんとは以前一度タイバンしてそのときは手動オルゴールを演奏され、ギターを演奏されなかったので、今回はギターを聴けるのが楽しみでした。津田さんとは初めてお会いします。

そして開場。ラジオ・ゾンデの演奏に聴き入りました。青木さんはアコースティック・ギター、津田さんはグレッチのフルアコでお二人ともオープンチューニング、青木さんの出力システムはメインのスピーカーの他に小さなスピーカー4つを会場の4方にセッティングするものでした。お二人の丁寧に紡がれる柔らかい、ほんとうにやわらかい音響と音韻は音楽的美に満たされていました。美しくアンサンブルされるギター。弦の振動からなる倍音のゆたかな音響の優位性を表出しながら、やさしい時間が恍惚をもたらしてくれました。レンチなどの様々な器具を使いトレモロの持続音がつらなる楽曲では一瞬強く心を動かされました。そこはいってみれば広義のドミナント・モーションがおこっているような箇所で、音のもつ推進力の作用を強く感じました。

我々の演奏も終わり、作曲者の私としては少しエモーショナルになりすぎたきらいはあったものの、このトリオ、継続してみたいと切に思いました。

打ち上げでは青木さん、津田さんとも少しお話でき楽しい時間が過せました。なんといっても主役は鈴木さんですが。

聴いてくださったお客様。ありがとうございました。

濱地潤一