hamaji junichi

composer saxophonist

Amorphous Ring II 福島諭作曲作品 発表 後記

ど頭にはまず、前田真二郎監督の先日のvacantでのライヴ上映後記。
http://www.iamas.ac.jp/~maeda/VACANT_2010.html





帰ってきました。和歌山に。気分が滅入る。と、のっけからダークな色合いをかもしだすが、他意はない。

12月2日に東京。新宿に入り、アメリカン・ラグシーでエンジニア・ブーツを購入しようと画策するが、サイズが合わず断念。有名なレッド・ウィングのようにごっつい感じのどスタンダードなものではなく、皮が初めから柔らかくシルエットも結構細身のブーツである。zozoで見て、瞬殺でソールドアウト。店舗ならある場合があるから前回のvacantの時に見に行ったが、なかった。で、約1週間強後の今回、新宿のフラッグスのラグシーに行ったらあったので、意気揚々と試し履きしたら「は、はいらん、、、」もうひとつ上のサイズはもう売り切れ。サイズ展開が3つしかないから、あきらめる他ない。でも店員さんはとても丁寧で感じ良く、そこらへんは流石である。商品は買えず残念だったが、店舗に行って良かった。

2日はそんなこんなでちょっと街を散策し、ホテルにもどって譜読みしながら明日の演奏を想定してなんていうのか、シャドーサックス?まあサックスを持ったと想定して息を吹きながら譜面にしたがって練習。演奏時の自身の心理を把握し、どの音の時にこんな心理になるとか、そうなってはいけないとか、あとは、譜面の解釈をいろいろ試したりして、疲れると村上春樹の短編を読み、また譜面を読み、、、を繰り返し、まあ大丈夫かな、、、というレヴェルになったから、映画館に行って観たい映画の時間帯をチェックすると、朝しかやってないんかい!といったことも含めてあっという間に3日。

夜は例のごとく数時間寝ては起きるを繰り返し、目覚めれば昼。作曲家の福島諭さんに連絡し、急いで用意し、ホテル近くで待ち合わせする。福島さんもコンピュータのセンサリングの最終調整をされてたみたいでちょうど良かったそうだ。
「なんか、しょっちゅう会ってますね」とか言いながら握手を交わし昭和音大へ。

昭和音大に着き、リハを。PAのオペレーションは有馬純寿さんがやってくださるとのこと。素晴らしい。最終的な注意箇所を確認し、リハを終える。

開演。前田真二郎監督が来てくれる。wow!




17:30-18:30 特別企画1「JacobTVレクチャー・コンサート」
いま世界で最も注目を集めるオランダの「avant pop」作曲家JacobTV氏による自作品解説と、気鋭のサクソフォニスト大石将紀氏による実演を行います。
講演:JacobTV(Jacob Ter Veldhuis/作曲家)http://www.jacobtv.net
演奏:大石将紀(サクソフォンhttp://www.m-oishi.com
音響:有馬純寿帝塚山学院大学
通訳:今井慎太郎(国立音楽大学

19:00-20:30 特別企画2「せがれの背丈」〜そして、IC2010コンサートへ
ICWG担当教員の背中を見て育った作家達によるコンサート。1995年から始まったインターカレッジ・コンピュータ音楽コンサートも15年。そこで多くの研鑽を積み、現在は各方面で作家として活躍されている方々がおられます。そんな作家の中から、この10年代におけるコンピュータ音楽について新たに提示する作品、また今後巣立って行く学生達へエールを送る作品のコンサートをお届けします。
「せがれの背丈」出演:
1)NORI ARITA(出身大学:洗足学園音楽大学
2)生形三郎(出身大学:昭和音楽大学東京芸術大学大学院)
3)福島 諭(出身大学:IAMAS
4)濱野峻行(出身大学:国立音楽大学
「ICコンサート」出演:
5)今村モモ(静岡文化芸術大学)"花音〜canon〜"




Aritaさんの作品を聴き、準備。Aritaさんとは少しお話できて良かった。とても気持ちの良い方。


そして本番。例によって詳細は書かない。が、前回のloop lineでの初演が演奏者として散々だったのでその失敗を払拭したい願いは叶えられた。それはホールという豊かな音響環境も関係しているだろうし、有馬さんのPAオペレーションの手腕(とても凄いのです)にも感謝したい。作曲家である福島さんもとても満足してくれたようで、嬉しかった。

演奏が終わり、福島さんは師である三輪眞弘さんとなにやらお話をされていたり、先日のvacantにも来てくださっていた作曲家の桑原ゆうさんと女優・声優の荒蒔麻弥さんとお話されていた。



僕自身は、今回は司会進行をされていた大谷安宏さんと少しお話できて、大谷さんに「福島さんとの作品面白いです」と言っていただけたり、機会があればPit innでとか言ってくださって、いつか是非ご一緒したいと思った。

打ち上げは三輪眞弘さん、有馬純寿さん、前田真二郎さん、福島諭さん、イアマス関係のお二人(お名前は失念。福島さんに聞こう)と私。

三輪さんと福島さんの師弟のなんとも言えない雰囲気を知ることができたり、有馬さんの博識が面白かったり、前田さんの本の話がとても興味深かったり。豊かな時間を過ごせた。

その打ち上げが終わり、午前0時に新宿に。移動中の電車で前田さん、福島さんに激しく村上作品をお勧めする。「たまには人の話を聞きなさいよ、お二人さん」という失礼な文句によって。

前田さん、福島さん、僕とで再度打ち上げ。これは当初から予定されていて、前田さん行きつけのゴールデン街のジャス・バーに。せっかくだから今年最後の発表で前田さんもいらっしゃるし、打ち上げしていろいろ話しましょうという感じだった。で、この3人が集まると先日のvacantでの発表の話やら、わっしょい話が炸裂し、面白いのなんの。おおいに盛り上がりましたとさ。前田さんのお酒は楽しいお酒だ。

そのなかで、福島さんが紹介してくれたカシオーリというピアニストの思い出話が印象的だった。福島さんがそのピアニストを聴いたとき、その時はドビュッシー前奏曲を演奏したコンサートで、ピアノを弾きながらふとカシオーリが顔を上げ、倍音が煌くのをその中空にはっきりと凝視していたシーンがあったらしく、それがとても美しく心を打たれたそうだ。音を見ることが出来る一瞬。その恍惚。そのシーンを思うと心が揺さぶられた気がした。それも激しく。

気がつけば午前5時半。前田さんも超ご機嫌であり、福島さんもにこやかであり、再会を互いに約束し、分かれた。この2人がもし、とうの昔に知り合うことが出来てい、友人としてこんなふうにいてくれたなら、自分の人生ももっと豊かになっていたかもな、、、とふと思った。

pic satoshi fukushima



次の日。新宿のタワーレコードに行き、福島さん大絶賛のカシオーリの最初のアルバムを購入。そのなかのリゲティが素晴らしいらしく、即買い。他にはペンデレツキの「クレド」などを買う。ペンデレツキの最近の作品が猛烈に素晴らしいと思っている。初期も強度半端ではないが、最近の作品に強く惹かれる。

写真をとったが、自分がへたなので使えないものがほとんど。
この2枚は福島さんと荒蒔さんに録ってもらったもの。

右から桑原ゆうさん、荒蒔麻弥さん
右から福島さん、桑原ゆうさん

桑原ゆうさんは現代音楽の作曲家でありモデルでもあるというミューズに完全に祝福されているような方。福島さんの友人である。


とにかく無事福島さんの「Amorphous Ring II」を演奏し終えて安堵しながら帰った。「Amorphous Ring II」の情緒を排除した音韻組織に敬意をはらう。





福島諭さんの記述。
http://www.mimiz.org/index.php?ID=511