持続する時間

満を持して「croma for alto saxophone」を録音しなおす。満を持しているのは作曲者、演奏者の私ただ一人という笑えない状況だけれど、元来人ひとりの人生なんて笑えないことがほとんどだ。他人の知る範囲ではない。

元来この曲はあまりエモーショナルな感じを介入させないように吹くべきだ。（自分の曲では多い）昨年の初演もそう吹いたし、一度録音した時もそう吹いた（つまり可能な限りシステマチックに吹くということだ）が今回は少しダイナミクスをつけて吹いてみた。ちょっとやりすぎた感も否めないが譜面を書いて（ここ数日清書していた）演奏するという手順を一人でやってみたわけだ。そこでの意識の流れがまあ録音にも出たわけで、でこれも当然前田真二郎さんと福島諭さんに送る。そもそもこの曲は前田真二郎・福島諭・濱地潤一による前田真二郎作品「日々」ライヴ上映の為に書かれたものなので、お二人は曲も知っているし、そこにある「何か」を共有しているという持続した時間があるためだ。

その勢いで、cromaの断片をモチーフに久しぶりにimprovisationも録音した。音を吹き、それを聴きながらリアルタイムで組織するvariation。これも聴いてもらうべく近々TDでもやりましょう。