hamaji junichi

composer saxophonist

「変容の対象」2011・7月fine

「変容の対象」2011・7月fine

福島諭さんからfineのメール。やはり7小節目で今月はfineとしますとのこと。
8月は僕の動機から。





安部公房「他人の顔」

you tube武満徹の「狂った果実」のmain titleを探していると東京に住んでいた頃に死ぬほど観たかった「他人の顔」の勅使河原監督映画作品が12分割されてアップされていた。tanin no kao でアップされていて、英語字幕もついている。face of another
なんでもそうだが、本来は購入すべき作品だと思うが、当時べらぼうに高くてタワーレコードで悩みまくったけれど買えなかった。で、you tubeで観るのもちょっと気が引けた(ただだから)けれどもう多分廃盤だし、今後観ようと思うかどうかも分からないし、なんやかんや言うても気になって仕方がないので観た。仲代達也主演。原作に忠実かどうかはもう小説の細部を忘れてしまっているので分からないが主人公があそこまでふてくされまくっていたかな、、、と思うぐらい導入部は仲代達也扮する主人公が顔を失ったことで被害者意識まるだしで奥さんに嫌みをさんざんぱら言い続けるシーンが続いて、食傷ぎみで観るのをやめようかとも思ったけれどそこをくっとこらえて見続けたのだった。当時とても観たかったというノスタルジーの力か。印象に残ったのは顔に大きな痣のある美しいお嬢さんの存在だ。原作に彼女がいただろうか、、、と思ったが、とにかくそのお嬢さんのことがとても鮮烈に印象に残る映画だった。ねたばれするので本筋の主人公と奥さんの云々はここに書かないが、そのお嬢さんの存在だけでも観て良かった。あんな「悲しい存在」は、、、、(自ら入水するのだけれどそこが「悲しい存在」ではなく、、、)兎に角もっていかれたのだ。


安部公房は私の永遠のアイドル。あのポップさの背後に在る深く澄んだ複雑性をもう一度読んでみなくては、、、と思った。そして、あの乾いた文体も。

劇中の音楽は武満徹、この映画の為に書かれた武満作品では有名なワルツがmain titleに使われている。あのワルツはとてもエロティックで安部公房作品の内包するエロスにも通ずる。名曲。