hamaji junichi

composer saxophonist

《変容の対象》2015年10月11−12−13小節目

《変容の対象》2015年10月11−12小節目を福島諭さんより受け取る。


12−13小節目を書き送る。


福島さんが書いていたけれど、高橋悠くん、香苗さんたちと忘年会でもと。「確かにやりたいわな、、、」と思った。新潟、近ければなと。そう言えば今、川端康成の「雪国」を読んでいるが新潟の物語である。「雪国」はあまりに有名で、本好きでもその有名すぎる所以で手に取ることはなんだか気がひけるみたいな心持ちになる場合もあるかもしれないけれど、読んでみたらやはりそこに強力に引き込まれる。尋常ではない引力がある。スタンダード(凡庸な意味での言葉ではない)とはそういうものだ。

例えば音楽ではバッハ。福島さんと飛谷くんとでギター作品をやると決まってから譜面を手に入れバッハのBWV 998のフーガを弾いていた(純粋に練習の為の練習)のだが、今日も弾いていて1〜28小節目と29小節目の4分音符一拍フェルマータまでで「これだけでもう充分だ。この世界は」と思ってしまった。時間にして2分弱。そのときこうも思った。例えばこの2分弱の演奏会がこの世で成立するか否か。勿論興行としての音楽の価値観ではそんなもの成立しないのはわかっているけれど自分の意識はそこにはなく、そういう音楽の場が充分あり得るとその音楽の強さ故に思ったのだった。まさに光が身体を刺し貫くようなその音楽。そういう音楽を真に感じることが出来るものであればその2分弱は永遠であって、その2分で満ち足りる。