変容の対象 4月
作曲家福島諭さんとの共同作曲作品「変容の対象」の4月もそろそろ終盤です。毎月更新される作曲作業。今年1月1日より、ほぼ毎日「作曲」という行為を考えているわけですが、月ごとに作品の内に内包される技法やテクスチャーをそこに、つまり譜面に定着させている、、、ということにある感慨を抱きます。今月は私からのモチーフの提示で始まりました。半音階と短三度を内包する旋律。福島さんが先日書かれているように、先月のある意味古典的な響きをまずは断絶して始めたいと思ったことと、サックスが基本的には単旋律楽器である宿命(重音などの特殊技法によって複数の音を発音することは可能ですが、、、)から俯瞰される旋律の組織の「ある可能性」の一部を提示してみたいと思ったことから始まりました。半音階と短三度、4度などを複合した和声はラヴェルなどがすでに使っています。極めてシステマチックに組織された和声の根拠はそれだけで私の心を揺り動かします。ある技法の引用から見えるものは、その技法が出発点となり別の技法との融合であったり、その別の技法からまた連鎖的に視点が得られ、「音程というもの」そのものを考える動機になったり、、、つまり「見過ごしていた」ものへ注意をはらう行為などもそこに立ち現れてきたり、そこからまた、視点を得られる連鎖が絶えず起るということ、それは勿論全て解決する視点ではありえませんが、数々の視点、その不完全な視点から「完全」を標榜する動機がうまれるということの意義は計り知れません。それらを回顧しつつ、今日は10〜11小節目を福島さんに送りました。半音階から始まった楽曲の動機から、今回は全音音階が現れました。4月最後の日にはどんな作品になっているのでしょうか、、、それは私にもわかりませんし、福島さんにもわかりません。その「不確定性」の介在が「あらたな構造」をうむ。「引用」という行為は私と福島さんの間でも起っています。
5月、作曲家・福島諭さんの作品「amorphous ring I」のサックス奏者として演奏します。入場料は3000円だそうです。http://www.aac.pref.aichi.jp/index.html
> ◇日時:2009年5月9日(土)
> ◇場所:愛知県芸術劇場小ホール
> ◇第14回 日本電子音楽協会演奏会、電子音響音楽シンポジウム&コンサート
> ◇プログラム予定
> 15時〜15時55分:Marc Battier氏講演会
> 内容:フランスとアジアの電子音響音楽研究、他、
> 16時〜17時30分:シンポジウム
> 「電子音響音楽の今日的課題(仮)」
> 18時〜 :コンサート
> 第1部:招待作品(Marc Battier氏, EMSANからの公募作品)
> 第2部:JSEM会員による作品
> ※EMSAN = Electro Acoustic Music Society Asian Network