hamaji junichi

composer saxophonist

《変容の対象》2015・9月第3−4小節目、岐阜二日目

《変容の対象》2015・9月第3−4小節目を福島諭さんに送る。



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岐阜2日目。朝映像作家の前田真二郎さんと連絡をとりあい、昼に落ち合う。前田さんは昨日はサラマンカホールで撮影をしていた。

イアマスに到着。シアターに入り津上研太さんと自分の作品のチェックをする。録音されたものを順に確認し、それぞれ前田さんと選別する。こうして改めて実際に会い、対話を交えてその録音物に評価をつけてゆくこと、その時間は作業を確実に進めることにも繋がるとは前田さんの弁だが、内実の伴った時間というのは家でひとりで確認しているのとはまさしく雲泥の差であった。

(中断)
18日。昨日届いたBill Evansの二枚組CDを今これを書きながら聴いていて、ここ数年(多分7〜8年ぐらいだろう)は新たにJAZZのCDを買うことも無かった自分が何故Evansを聴くべきだと思ったのか、当然昔は持っていたけれどある時期、もう面倒になってほぼ全てのCDを手放してしまってからEvansは聴いていなかったわけだが最近My Foolish Heartのあの信じられないような瞬間を思い出したからなのだ。Evansのピアノ、Scott LaFaroのベース、Paul Motianのドラムのトリオ。あの内省に融けてゆくような瞬間を記録したメディア。現代音楽の場で演奏した後のこと。意味はある。自分の内部のなかではっきりとそれは息づいている。


夕刻。前田さんは機材の撤収に行かないといけないと言う。岐阜県立美術館、サラマンカホール。「イアマスのバンに乗らないといけないので、濱地さんは僕の生徒を二人僕の車に乗せてついて来てほしい」と言われて少しお手伝いで運転をした。岐阜の道を車で走るのははじめてだった。二人の生徒さん、杉山雄哉くんと丹羽彩乃さんと車中で話す。二人の前田さんの指示を聞く時のまっすぐな目がとても印象的だった。一生懸命に一言も聞き漏らすまいと真摯に、誠実に前田さんを見るその瞳はおそろしく美しかった。


夜、イアマスに戻る。前田さんと色々話す。最近見た映画で良かったのはと聞かれクローネンバーグの「Maps to the stars」と言い、「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」「イースタン・プロミス」は見た事がないと言っていたから激しくお薦めしておいた。


今日の作業は終わりホテルに送って行ってもらい解散。