hamaji junichi

composer saxophonist

エントロピー

一昨日からの激しい偏頭痛。このまま頭を打ち抜いてくれれば良いと思うほどの痛みは頻繁に偏頭痛を起こす身であっても珍しく、結局この2日は譜面など書けなかった。痛苦とは全てを奪う。
痛みも鈍り、ここに紹介するのはトマス・ピンチョン著「エントロピー」。ピンチョンの短編集「スロー・ラーナー」(ちくま文庫)に収められているこの奇妙に美しい物語は、是非、福島諭さんなんかに読んでもらいたいし、また、音楽家であれば、、、と思う。とりわけ福島さんは数年前からエントロピーのことを作曲の思索の文脈のひとつとして念頭におかれていて、そういった話をことある毎に話されていたわけだが、そのエントロピーという言葉はピンチョンの序文によると「変容の内容」ということらしい。我々の共同作曲作品「変容の対象」は福島さんが名付け親だがそういった符号も彼のなかにはあったのだろうか、、、とひとり思ったわけだが、さて、その物語のなかにはストラヴィンスキーの「兵士の物語」のなかの悲しみのタンゴ曲(ピアニストの石井朋子さんならそれを知っているだろうな、、、とか)からジェーリー・マリガンのピアノレス・カルテットのピアノレスについての挿話から、「These foolish things」(この愚かしいことども)「I'll remenber April」(憶えているだろう4月のこと)ジャズに関する用語も多用されている。最後にはドミナント・モーションで幕は降りる。トニックに解決するわけだ。読めばわかるが文字通り。

是非。


夫婦善哉を見る。テレビは無いから録画してもらい母屋に行って見た。全4回。織田作の代表作。何とも良かった。蝶子さん。
原作はどこに行ったやら。倉庫の底にでもあるのだろうか。
軽薄さの微塵もないドラマだった。


頭痛は暫し去ったようだが、それに関係しているのかしらんが、眼の調子が悪い。
今日も譜面には向かう気になれない。