hamaji junichi

composer saxophonist

佐藤春夫のインタビューを見た。その中で印象的な言葉が語られていた。「詩想」という言葉だが、その美しい表現に作家の内実を見たような気にさせられた。

文学や詩が佐藤春夫の時代とは違い、その影響力を持たなくなった今、ある一つの言葉を聴いただけで感動にも似た感覚をもたらせられる瞬間など無いに等しい。
過去が無条件で素晴らしいなどつゆほども思わないが、こと言葉に関して言えば豊穣な言葉が今の感覚では推しはかれないほど使われていたのは想像に難くない。

佐藤春夫がいみじくも「良い文学がうまれるには、良い時代でなければ生まれようもない。元禄などまさにその時代だ」と言っていたが、その視線の鋭さを象徴する言葉が「詩想」という発言によって説得力をさらに深める。

表現の根幹にあるべき言葉として「詩想」という言葉は輝いて見える。音楽でもそれは例外ではない。