hamaji junichi

composer saxophonist

作品の根底に低通する思想

現代音楽の作曲家、桑原ゆうさんの「etudes」を拝見し、拝聴。
http://www.youtube.com/watch?v=boWh-RlEFl4

桑原さんとは2度お会いして、先日、you tubeにアップされているとのことを聞いた。和歌山に帰り早速、その作品を拝聴し、連絡先もいただいていたので自分なりの感想というか、思ったことをつたないながらメールさせていただいた。そのお返事にはとても丁寧な作曲家の思想の一端が記されていて、大切に拝見させてもらった。

自分は作品における作曲家の思想にとても興味がある。その思想こそが美を形成する確かな根拠として在るような気がしている。勿論、作品に現れる音韻情報でその作品を判断するが、もしそれを聴いて心が奮え、そうして例えば、幸運にも譜面を得られたならその小節内に在る作曲家の思想を読み取れるものなら読み取りたいと切に願ってもいる。これはずっとそうだ。何も今に始まったことではない。

そうしてもし叶うのであれば、その作品の作曲家本人にその思想を聞いてみたいとそれは当然のごとく思うわけで、作曲家、福島諭さんにも様々な機会にそれを伺ってこれたし、今回も桑原さんにお返事をいただき、その思想の一端をお伺いできたことはこれは、とても貴重な経験である。

「細部の細部まで追っていく」とは埴谷雄高の言葉だが、優れた作曲家、演奏家は例外なくその行為をし尽くそうと醒めすぎる頭脳をたえずそこに機能させているはずだ。

今回いただいたお返事にはそれが克明にしるされてい、1音を捉えるということの切実で明晰な頭脳を感じた。

作品の根底に低通する思想はそんな頭脳からうまれるのだ。