hamaji junichi

composer saxophonist

数日前にルパン三世カリオストロの城」を久々に観ました。おっさん全開驀進中、怒濤の厭世感に苛まれることを自覚し始めてから初めて観ましたが、もう何度も観たはずであるのに、今回は刺さりまくってもう、どうしようもないといった感じでした。クラリスのなんともいえない優しい存在は男の夢想する完璧な女性像でありながら、それが現実に確かに在るような可憐さであり、ルパンでなくともこの身捧げましょうと思わせるものであり、実際、次元も五右衛門もそう描かれてますな。そうしてやはり女性の存在の、その揺るぎない価値は「優しさ」であると、しかも女性しか持ち得ぬ「優しさ」というものがあって、それが男をはっとさせるのです。アニメだからといってそんな男の理想像を、、、と意地悪な目でどこかの女の人(男の人でもよいけど)がそう思いせせら笑ったとしても、やはりどこかにクラリスのような女性は居ると思うのですな。居ますよ。そりゃあ。ええ。
そうして物語の背後にある、ある名状し難い「切なさ」にも驚きました。それは物語全編を通じて、さながら通奏低音のように観るものの心臓に触れて浸透し、なんとも言えない深い感情を連れてきます。女固有の「優しさ」、男固有の「優しさ」がそれを表出せしめているようでした。そして一雫のノスタルジー。それは普遍的なものを表しているようです。
人が有する美徳のうちで最も美しいのは「優しさ」であると思います。
名作に名高いアニメーションですが、今回はとても驚きました。ほんとに驚いたのです。