hamaji junichi

composer saxophonist

ave verum corpus,k.618

ave verum corpus,k.618モーツァルトの名曲。生活のなかで救済と赦しを我らに、、、とはまったく思わないが、その音楽の世界に没入するとき、「それ」はおとずれる。「それ」は言葉ではどうしても表せない感情だ。体験とも違う。しかし「それ」は心の中に入り込み、そうしてもしかしたら浄化を夢想させる。その時だけ浄化され、昇華された魂をみるように組織された音。



押井守監督の「イノセンス」を観る。何度も観た作品だが、圧倒的な情報量が高密度に張り巡らされ、その細部の細部の全てがアニメーション故、ゼロからつくられている(監督自身もどこかでそう言っていた)ということは何を意味するか。実写では作り手にその意図が無くても「映ってしまう」現象が、アニメーションではそこにあるべきという明確な意思で映像化される。それなくしてそのシーンの「それ」は存しない。影も光もその意思によってシーンに定着させられる。
以前、押井監督の話を映画館で生で拝見した。その時監督が「イノセンス」の物語の背景にはダンテを引用していて、ヨーロッパ建築の「縦の構造」と「縦の思想」に基づいてシーンを創ったといったことが話されていて、それを思い出しながら観た。観るたびに強度がせまってくる作品。


イノセンス スタンダード版 [DVD]

イノセンス スタンダード版 [DVD]






考えてみれば確かに音楽でも「縦の思想」ははっきりと、、、